政宗九の視点Blog

ミステリなどの本について、またAKB48(というか主にHKT48)について書いていく予定です

2013年2月の読書メーターまとめ

2013年2月の読書まとめを残しておく。2月は「本屋大賞」投票のための読書になると思ってたが、ノミネート作は1月のうちにほとんど読んでいたので、あまり本屋大賞色は強くない。慢性的に小説の読書ペースが落ちているので、挽回したいところだ。

 

2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:4852ページ
ナイス数:128ナイス

晴天の迷いクジラ晴天の迷いクジラ感想
実は一度読みかけて中断したまま積読になっていた。最初の短編の由人のエピソードがとても他人事に思えず、心にグサグサ刺さっていたからだ。読み終えた今は、これをもう一度読み返したい気持ちになった。希望、という一言では済ませられない、表現ができない特殊な感情が沸き起こる小説である。
読了日:2月3日 著者:窪 美澄
本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事感想
ブックディレクター、幅允孝さんの仕事を紹介した一冊。大書店から、書店ではない小さな店の書棚まで、自在に作り上げる発想は、自分の仕事にも大いに参考になる。「ただ単に本を選び、本棚に並べていくのではなく、『その一冊』が最も輝くように棚を演出し、POPやサイン計画など、視覚のコミュニケーションの領域まで考慮して本を置いていかないと誰も手に取ってくれない」(84ページ)
読了日:2月8日 著者:高瀬 毅
ソロモンの偽証 第I部 事件ソロモンの偽証 第I部 事件感想
素晴らしい。ここで描かれている話が絵空事でないことを大津事件で充分思い知らされた。特に第一部後半の怒涛の展開がすごい。長大な作品だが、全く飽きさせないのは作者の才能以外のなにものでもない。
読了日:2月12日 著者:宮部 みゆき
ソロモンの偽証 第II部 決意ソロモンの偽証 第II部 決意感想
素晴らしい×2。大人に任せられなくなった中学生たちが学校内裁判をすると決めて実際に開廷するまで、だけの話がこの第二部だが、裁判をただのゲームではなく、本格的なものとして説得性を上げることに成功している。途中でだらけさせない展開も随所にあって、物語を引っ張る力に圧倒される。
読了日:2月12日 著者:宮部 みゆき
ソロモンの偽証 第III部 法廷ソロモンの偽証 第III部 法廷感想
素晴らしい×3。いや素晴らしい×∞。「法廷ミステリ」に終始する第三部も最後までドラマティックでエキサイティングだった。ラスト2日間の展開は手に汗握った。事件と裁判を通して中学生たちの成長を見届けたような小説だった。
読了日:2月12日 著者:宮部 みゆき
名物「本屋さん」をゆく (宝島SUGOI文庫)名物「本屋さん」をゆく (宝島SUGOI文庫)感想
話題となったノンフィクション『さいごの色街 飛田』の著者、井上理津子さんによる、東京の特徴的な書店探訪気。全般的に楽しく読んだが、一店舗あたりの紹介分量が3ページしかないので、井上さんらしい切り口があまり感じられないのが残念。その書店で見つけた本、買った本に必ず触れられている点は素晴らしいと思った。
読了日:2月13日 著者:井上 理津子
貫井徳郎症候群 (宝島社文庫)貫井徳郎症候群 (宝島社文庫)感想
かつて別冊宝島で出たものをベースに、近年の著作の情報を追加し、またこの文庫のための書き下ろし評論も追加された貫井徳郎研究本の決定版。全体のほぼ3分の2を占めているボツ長篇『死の抱擁 第一部』は、これがなぜお蔵入りになったのか不思議なほどの傑作。
読了日:2月16日 著者:貫井 徳郎
夢を売る男夢を売る男感想
自費出版ビジネスの手口を暴露した「業界の裏側」小説。なんとなく感づいていた話だけれど、ここまでズバズバ書かれるといっそ痛快で、モデルになった版元が怒ってこないか心配してしまうほどだ(どこがモデルかは書店員なら誰でも分かる)。はっきり言って、めちゃくちゃ面白い話であることは間違いない。
読了日:2月16日 著者:百田 尚樹
邪馬台国殺人紀行 (実業之日本社文庫)邪馬台国殺人紀行 (実業之日本社文庫)感想
邪馬台国の候補地で起こる殺人事件。『邪馬台国はどこですか?』に見られたような新説・奇説は陰を潜め、むしろ普通の旅情ミステリといった感じ。邪馬台国の薀蓄については末國善己さんの解説の方が詳しいくらい。鯨統一郎さんの女性探偵キャラの豪華共演を楽しむべきだろう。「〈アメキ女デス〉は手を汚さないのよ」などの言葉遊びの楽しさも健在。
読了日:2月20日 著者:鯨 統一郎
本を読んだら、自分を読め 年間1,000,000ページを血肉にする〝読自〟の技術本を読んだら、自分を読め 年間1,000,000ページを血肉にする〝読自〟の技術感想
本を読むことが自分の力になるよ、と、自分のような活字中毒者に勇気と活力を与えてくれる本。読んだ本はSNSやブログなどでアウトプット=情報発信すべし、というのは私も経験談として超納得。
読了日:2月21日 著者:小飼 弾
厭な物語 (文春文庫)厭な物語 (文春文庫)感想
古今東西のイヤミスの名作アンソロジー。今話題のソローキンも読める。実はシャーリイ・ジャクスン「くじ」は未読だったので、こんな話だったのかと驚いた。ランズデール、ブロックが個人的にはお気に入りだが、本書の真骨頂は、フレドリック・ブラウン「うしろを見るな」の配置の仕方。これだからこその読後感が味わえる。
読了日:2月25日 著者:アガサ クリスティー,モーリス ルヴェル,ジョー・R. ランズデール,シャーリイ ジャクスン,パトリシア ハイスミス
TWEET&SHOUT ニューインディペンデントの時代が始まるTWEET&SHOUT ニューインディペンデントの時代が始まる感想
前半の「ネットと音楽業界の歴史」が対話形式ながら丁寧に纏められていて、音楽業界がどこで道を踏み誤ったかがよく分かる。Winampとか超懐かしい。一方で後半の話を読むと、ネットの可能性はまだ広がりそうな気がする。ネットで何かやってみたい衝動に駆られるね。
読了日:2月26日 著者:津田大介

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