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政宗九の視点Blog

ミステリなどの本について、またAKB48(というか主にHKT48)について書いていく予定です

世界のイヤミス・アンソロジー『厭な物語』は、「うしろをみるな」の配置が絶妙だ

文春文庫の海外アンソロジー『厭な物語』を読みました。

厭な物語 (文春文庫)

厭な物語 (文春文庫)



後味の悪い小説を「イヤミス」と呼ぶようになって久しいですが(その直接的なきっかけは、解説で千街晶之さんも書かれている通り、湊かなえさんのデビュー作『告白』だと思います)、本書
はそのイヤミスばかりを集めた海外短編のアンソロジーです。どんな作品が入っているかというと……
アガサ・クリスティー「崖っぷち」
パトリシア・ハイスミス「すっぽん」
モーリス・ルヴェル「フェリシテ」
ジョー・R・ランズデール「ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ」
シャーリイ・ジャクスン「くじ」
ウラジーミル・ソローキン「シーズンの始まり」
フランツ・カフカ「判決 ある物語」
リチャード・クリスチャン・マシスン「赤」
ローレンス・ブロック「言えないわけ」
フラナリー・オコナー「善人はそういない」


と、こんな感じです。カフカ、クリスティーから、話題のソローキンまで、バラエティに富んだラインアップだと思います。個人的には、ランズデール「ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ」と、ブロック「言えないわけ」が特に印象に残りました。また、この手の作品では著名な「くじ」が未読だったので、おおこんな話だったのか、と感動しました(ん? 感動するのはおかしいなあ)。

ところで本アンソロジーにはもうひとつ、フレドリック・ブラウン「うしろをみるな」が収録されているのですが、この作品の配置の仕方が実に効果的なのです。普通は作品が全部終わってから、解説があって、広告ページがあったりして、最後のページに奥付がありますが、本書では、上の10作品のあとに千街さんの解説があり、そして解説のあとに「うしろをみるな」が収録されているのです。「うしろをみるな」の最後のページの次はすぐ奥付でこれで本が終わり、という構成です。「うしろをみるな」はこの配置で置かれるからこそ効果的なのですよ。それがどれほど効果的かは……ここはもうネタバレになるので、ぜひ読んでみてください。くれぐれも、「うしろをみるな」から読もうと思わないでくださいよ、ちゃんと全部読んでから「うしろをみるな」を読むのです。さもないと……。