政宗九の視点Blog

ミステリなどの本について、またAKB48(というか主にHKT48)について書いていく予定です

別次元の高みにどんどん昇っていく道尾秀介さんの小説世界(『笑うハーレキン』について)

2012年に発表された道尾秀介さんの小説『光』(光文社)の重版分からの帯には、私のコメントを使っていただいています。

「またしても道尾さんが新たなステージに立った」

上から目線ぽい発言でちょっと恐縮してしまうのですが、作品を発表するごとに階段を昇っているというか、新境地に達しているというか、まうそういうようなことを表現したかったのですね。

光

デビュー当時は「ホラーミステリ作家」というポジションでしたが、新作が出るたびに作風が変化したりミステリ度が進化したり、驚きが大きくなったりしていった道尾さんの作品世界ですが、ここ数年、直木賞を受賞される少し前あたりから、ミステリ的な驚き以上の読後感を残すようになったように思います。作家としての独自の世界がどんどん広がっていて、道尾さんにしか書けないものになってきているようです。

そんな道尾さんの最新作、『笑うハーレキン』中央公論新社)を読みました。これまたすごい作品ですよ。最近の道尾さんは、小説を書くことに何らかの使命感が働いているのではないか、という気すらしました。そこらへんの自己啓発ビジネス書を読むよりも、道尾さんの小説を読んだ方が、得るものは大きいのではないでしょうか。

本書の帯に書かれている、

「一歩を踏み出す大きな勇気をくれる、著者渾身の感動作」

というコメントが全てだと思います。読んで損はないですよ。ぜひぜひ。

笑うハーレキン

笑うハーレキン